モモ、とんだ盗み食い

朝ごはんは、父ちゃん、母ちゃんが食べた後でなければ、モモには与えないことにしている。
人間様のご飯が済んで食器を片付け始めると、モモはいよいよ自分の番だとばかりに、父ちゃんにまとわりつくのが普通だ。
けさはそれが、ちょっとばかり違った。
まず、父ちゃんはデザートのヨーグルトを食べ終え、こればかりは手づかみだと与えづらい納豆を数粒、そのガラス器に入れた。ここまではいい。モモもいつもどおり、大人しく、自分の番を待っていた。
普段ならこの後、モモにハウスと命じてサークル内でペットフードを手で与え、最後にヨーグルトがかすかに残ったガラス器を舐めさせてやるのだが、きょうは、ちょっと用事を思い出して、食卓テーブルを離れてフードをやらずに、居間をいったん出たのだった。
しばらくしたら、「モモっーー」という母ちゃんの声が聞こえた。
あわてて戻ると、モモはソファに乗っかりこんな顔をしていた。

母ちゃんによると、どうやらモモは食卓テーブルのいすに乗り、さらにテーブルに脚をかけ、置いてあったガラス器にわずかにこびりついたヨーグルトをきれいさっぱり舐めとり、さらに納豆も食べてしまったようだ。
モモは胴長だから、こんなに伸びる。

だから、いともたやすくテーブル上の食材を失敬できたわけだ。
母ちゃんも食器洗いをしていたため、目撃したのは、モモがテーブルから悠然と下りるところだけだったらしい。
モモはこれまで、自分の食事までは、じっと座って待っているのが常だった。
いすに乗ったことなど見たこともない。
ずる賢いとは聞いていたが、なるほど、見ていないと何をするか分かったもんじゃない。
モモのつぶやき

つまみ食いはおいしいよ。