モモ、吹雪で遭難

一瞬の晴れ間をついてモモと散歩に出かけた。
一面の銀世界に口笛を吹きたくなるような気分だった。
だが、一転、空はにわかにかき曇り、激しく雪の舞う天候となった。
自然の猛威の前にはなすすべがない。
それまで快適な散歩だったのに行く手を雪が阻んだ。だがモモは前進する。

父ちゃんの頭には、あの「八甲田山死の彷徨」がよぎる。日露戦争前夜、青森第五連隊と弘前第三十一連隊が厳冬期の八甲田山中で雪中行軍の演習をしたというあれだ。準備をおろそかにした青森勢は210人中199人が死亡した。雪山遭難史上、最悪の惨事となった。
モモも雪まみれになり、体毛に付着した雪は団子状になってずっしり重く満足に歩けない。体温(モモの平熱は39度前後)も急速に奪われる。
後ろ脚をひきずるようにしてついに身動きもできなくなった。
このあたりで、映画では北大路欣也が「天は 我々を見放した」と有名なせりふを吐く。
だが、モモはくじけなかった。重い脚を引きずりながらはうようにして家に達し玄関をたたいた。母ちゃんによる救出時はご覧の通り。

雪玉は氷になりつつあり温かいシャワーでもなかなか解けなかった。
北海道の雪を侮ってはならない。
一息ついた後は、とっておきの牛のおちんちん(長さ46センチ)を与えた。

モモのつぶやき

こんな経験初めてだよ。